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基本表式

絶対零度でのGreen関数について

参考文献

  • Fetter Walecka

(1粒子) Green関数の定義

iG(𝒓1t1,𝒓2t2)=Ψ0|T[𝜓^H(𝒓1,t1)𝜓^H(𝒓2,t2)]|Ψ0=Ψ0|𝜓^H(𝒓1,t1)𝜓^H(𝒓2,t2)|Ψ0𝜃(t1t2)Ψ0|𝜓^H(𝒓2,t2)𝜓^H(𝒓1,t1)|Ψ0𝜃(t2t1)
  • 𝜓^H(𝒓,t) :ハイゼンベルグ表示での場の演算子であり, 𝜓^H(𝒓,t)=eiH^t/𝜓^(𝒓)eiH^t/
  • 𝜓^H(𝒓,t)=eiH^t/𝜓^(𝒓)eiH^t/である.
  • フェルミ粒子の場の演算子には反交換関係があり{𝜓H(𝒓1,t),𝜓H(𝒓2,t)}=𝛿(𝒓1𝒓2). 同時刻の反交換関係であることに注意。
  • Tは時間順序積であり, 時間tの順序を左側に未来の時間, 右側に過去の時間となるように並べ変える.
  • 𝜃(t): ステップ関数 t>0なら1, t<0なら0である.
  • Ψ0:ハイゼンベルグ表示のN粒子での基底状態 H^|Ψ0=E|Ψ0

相互作用のない系でのGreen関数

ハミルトニアン

ハミルトニアンをH^μN^ として, 基底状態のエネルギーを0としておく.𝜇:フェルミエネルギー, N^=d𝒓𝜓(𝒓)𝜓(𝒓): 粒子数演算子であり, 基底状態の粒子数をNとするとN^|Ψ0=N|Ψ0. また, 相互作用がない場合は1粒子状態の和であるので

H^μN^=n𝜀nc^nc^n

である.

WARNING

エネルギーの基準(ゼロ点)をフェルミ準位にしていることに注意.

ここで, 1粒子ハルミトニアンの固有関数を𝜙n(𝒓)(これは完全系をつくる)として, 場の演算子を展開した係数をc^nとしている.

𝜓^(𝒓)=nc^n𝜙n(𝒓)

相互作用のない場合の基底状態は, エネルギー𝜀nをもつ占有軌道がフェルミ準位までフェルミ分布に従い占有している.

実時間表示

𝜓^|Ψ0によって電子が非占有状態に生成されるもしくは, 𝜓^|Ψ0によって正孔が占有状態に生成される(占有状態電子を消滅する)という2通りが, それぞれGreen関数の1項目と2項目に対応する.

Ψ0|𝜓^H(𝒓1,t1)𝜓^H(𝒓2,t2)|Ψ0=Ψ0|𝜓^(𝒓1)ei(H^𝜇N^)(t1t2)/𝜓^(𝒓2)|Ψ0=nunocc𝜙n(𝒓1)𝜙n(𝒓2)ei𝜀n(t1t2)/:Ψ0|𝜓^H(𝒓2,t2)𝜓^H(𝒓1,t1)|Ψ0=Ψ0|𝜓^(𝒓2)ei(H^𝜇N^)(t2t1)/𝜓^(𝒓1)|Ψ0=nocc𝜙n(𝒓1)𝜙n(𝒓2)ei𝜀n(t2t1)/:
  • 生成と消滅は同じ1粒子状態nに対して行なわれる.そうでない場合はゼロになる.
  • 正孔の生成状態も励起状態であり基底状態からの,励起エネルギーは𝜀n>0である.
導出

よって,

iG(𝒓1t1,𝒓2t2)=nunocc𝜙n(𝒓1)𝜙n(𝒓2)ei𝜀n(t1t2)/𝜃(t1t2)nocc𝜙n(𝒓1)𝜙n(𝒓2)ei𝜀n(t2t1)/𝜃(t2t1)iGele(𝒓1t1,𝒓2t2)+iGhole(𝒓1t1,𝒓2t2)

となる。最後の行では, 電子と正孔の寄与を分けて定義しておく。これはグリーン関数の積を考える際に理解の助けになる。

INFO

グリーン関数は実空間, 実時間表示で見る方がイメージしやすい.

振動数表示

Green関数はt1t2の関数なので,それについてフーリエ変換した表式も用いられる.レーマン表示とかスペクトル表示と呼ばれている. ステップ関数をフーリエ表示として

𝜃(t)=d𝜔2𝜋iei𝜔t𝜔+i𝛿

がある.ここで𝛿は正の微少量.𝜔面の下反面の留数を拾う拾わないかでステップ関数を表現している.

INFO

フーリエ変換は,規格化因子の不定性があるので,この文章では以下のようにしておきます.

f(𝜔)=dtf(t)ei𝜔tf(t)=12πd𝜔f(𝜔)ei𝜔t𝛿(𝜔)=12πdtei𝜔t

𝜃(±t)eiEt/のフーリエ変換を考えると, (𝜃(t)𝜃(t)の中のei𝜔tei𝜔tとすればよい)

dt𝜃(±t)eiEt/ei𝜔t=d𝜔2𝜋idtei(±𝜔+E/𝜔)t𝜔+i𝛿=d𝜔i1𝜔+i𝛿𝛿(±𝜔𝜔+E/)=i1±(𝜔E/)+i𝛿

となっているので,

G(𝒓1,𝒓2;𝜔)=d(t1t2)G(𝒓1t1,𝒓2t2)ei𝜔(t1t2)=nunocc𝜙n(𝒓1)𝜙n(𝒓2)𝜔𝜀n/+i𝛿+nocc𝜙n(𝒓1)𝜙n(𝒓2)𝜔𝜀n/i𝛿

を得る.複素数に拡張した𝜔面では,非占有状態(電子励起)の極が𝜔>0の下反面,占有状態(正孔励起)の極が上反面に𝜔<0にある.

グリーン関数の極

INFO

実時間表示の定義についていたiは, 振動数表示での表式がキレイになるようにつけられていた.

状態密度

lim𝛿01x±i𝛿=P1xi𝜋𝛿(x)

の関係式を用いると,

d𝒓G(𝒓,𝒓;𝜔)=n1𝜔𝜀n/i𝛿=n(P1𝜔𝜀n/±i𝜋𝛿(𝜔𝜀n/))

となるので形式的には状態密度D(𝜀)=n𝛿(𝜀𝜀n)

D(𝜀)=±1𝜋TrG(𝜀/)(+:𝜀<0,:𝜀>0)

のように書ける(や符号があっている??)

時間秩序分極関数

ハイゼンベルグ表示の密度演算子を𝜌^H(𝒓,t)とすると 𝜌^H(𝒓,t)=eiH^t/𝜓^(𝒓)𝜓^(𝒓)eiH^t/ である. 密度の期待値からの変位を表す演算子として𝛿ρ^=ρ^ρ^を導入する. このとき時間秩序分極関数D(𝒓1t1,𝒓2t2)は以下のような時間順序積による密度の積(密度相関)と定義する.

iD(𝒓1t1,𝒓2t2)=T[𝛿𝜌^(𝒓1,t1)𝛿𝜌^(𝒓2,t2)]=𝛿𝜌^(𝒓1,t1)𝛿𝜌^(𝒓2,t2)𝜃(t1t2)+𝛿𝜌^(𝒓2,t2)𝛿𝜌^(𝒓1,t1)𝜃(t2t1)

相互作用がない系での時間秩序分極関数

相互作用がない系では、N積項は消えるためWickの定理により

iD(𝒓1t1,𝒓2t2)=T[𝛿𝜌^(𝒓1,t1)𝛿𝜌^(𝒓2,t2)]=G(𝒓1t1,𝒓2t2)G(𝒓2t2,𝒓1t1)

となる。G(𝒓1t1,𝒓2t2)=Gele(𝒓1t1,𝒓2t2)+Ghole(𝒓1t1,𝒓2t2)のように分離でき、t1>t2では Geleが残りt1<t2では Gholeが残ることを思い出すと

iD(𝒓1t1,𝒓2t2)=Gele(𝒓1t1,𝒓2t2)Ghole(𝒓2t2,𝒓1t1)+Ghole(𝒓1t1,𝒓2t2)Gele(𝒓2t2,𝒓1t1)=nunoccnocc𝜙n(𝒓1)𝜙n(𝒓2)𝜙n(𝒓2)𝜙n(𝒓1)ei(𝜀n𝜀n)(t1t2)/θ(t1t2)+noccnunocc𝜙n(𝒓1)𝜙n(𝒓2)𝜙n(𝒓2)𝜙n(𝒓1)ei(𝜀n𝜀n)(t2t1)/θ(t2t1)

となる。このフーリエ変換は上記と同様に

D(𝒓1,𝒓2;𝜔)=nunoccnocc𝜙n(𝒓1)𝜙n(𝒓2)𝜙n(𝒓2)𝜙n(𝒓1)𝜔(𝜀n𝜀n)/+i𝛿+noccnunocc𝜙n(𝒓1)𝜙n(𝒓2)𝜙n(𝒓2)𝜙n(𝒓1)(𝜔(𝜀n𝜀n)/)+i𝛿=nunoccnocc[𝜙n(𝒓1)𝜙n(𝒓2)𝜙n(𝒓2)𝜙n(𝒓1)𝜔(𝜀n𝜀n)/+i𝛿𝜙n(𝒓1)𝜙n(𝒓2)𝜙n(𝒓2)𝜙n(𝒓1)𝜔+(𝜀n𝜀n)/i𝛿]

を得る。 𝜙n(𝒓)𝜙m(𝒓)=𝜇Znm𝜇E𝜇(𝒓) のように波動関数の積を展開する規格直交化する基底をEμ(𝒓)とし, 展開係数をZnm𝜇とする。 (E𝜇|E𝜈=𝛿𝜇𝜈を満たす)。 このときD(𝜔)E𝜇での展開係数は以下のようになる。

D𝜇𝜈(𝜔)=d𝒓1d𝒓2E𝜇(𝒓1)D(𝒓1,𝒓2;𝜔)E𝜈(𝒓2)=nunoccnocc[Znn𝜇Znn𝜈𝜔(𝜀n𝜀n)/+i𝛿Znn𝜇Znn𝜈𝜔+(𝜀n𝜀n)/i𝛿]